東京から仙台まで

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ワンダースワンの旅

42.電気をたいせつにね
〜浜通り編(2)〜


前回までのあらすじ
東京から仙台まで、海沿いの町々を、ワンダースワンのソフトを買いながら旅する企画
“tv-game.com的ワンダースワンの旅”
前回大野駅からタクシーで、海岸方面に向かったゲイムマン。
5分後、到着した建物は、いったいどこなのか?
(前回と同じ「引き」ですみません)(2001年5月6日)
(※文章は2001年に書いたものです)


大野
双葉郡大熊町に入りました。
行きたい場所は東の海岸沿いですが、
タクシーが西口にしかいないので、西口から乗りました。

5月6日13時35分、私がやってきたのはここです。
福島第一原子力発電所サービスホール。
富岡にあったエネルギー館と同じく、
原子力発電のしくみを解説する資料館です。
ただ、エネルギー館と違うところは、
このサービスホール、発電所の敷地内にあるのです。
東海でも富岡でも来なかった、
原子力発電所の中に、ついに潜入です。
でも見たとこ、原発の中って感じはしませんが。
ここから原子炉が見えないからかもしれませんけどね。
まだ八重桜が咲いていました。
「さくら〜た〜い〜せん〜」(Whiteberry風に)

唯一、原発の敷地内であることを感じさせるのが、「環境放射線データ表示板」。
この近辺の放射線量を測って、表示しています。
今ここは、32nGy/h(ナノグレイ/時)。
(グレイは、物質に吸収される放射線のエネルギー量「吸収線量」を表す)
渋谷の35nGy/hより低い数値に抑えられています。

サービスホールの展示を見ます。真ん中に、実物大の原子炉模型。
さすがに場所が場所なので、富岡と違って、ほかに人はいません。
本来は、発電所を見学する団体さん用の施設なのかもしれません。
この発電所の見学には予約が必要ですが、
サービスホールと展望台だけは、予約なしで入れるのです。

福島第一原子力発電所のホームページはこちら。

富岡のエネルギー館と、このサービスホールから、
パンフレットを何冊か持ってきました。
展示とパンフレットで、わかった気になったので、
ここらでちょっと原子力発電のしくみについて、解説してみましょう。
難しい話になりそうなので、あきたら読み飛ばしちゃってもいいです。

CMの後は、よくわかる(!?)プルサーマル講座。



まずウランには、核分裂をするウラン(ウラン235)と、しないウラン(ウラン238)があります。
235と238は同位体(原子番号が同じで質量が違う元素)で、
自然界では235は1パーセントもないのですが、
発電に使うウランは、235を濃縮して3パーセントくらいにしています。

ウラン235に、中性子をゆっくり当てると、ウランが核分裂を起こします。
原子力発電所は、このときに発生するエネルギーで、電気を起こしているのです。
ところで、核分裂が起こったウランからは、2〜3個の中性子が飛び出していきます。
この中性子は、ほかのウラン235に当たって、新たな核分裂を起こすほか、
周りのウラン238に吸収されたり、核分裂を抑える制御棒に吸収されたりします。

ウラン238は、核分裂をしないのですが、
中性子を吸収すると、プルトニウム(プルトニウム239)に変化します。
プルトニウムは核分裂をするので、中性子が当たると、
ウラン235と同じように、エネルギーを出すというわけです。

使用済みの核燃料には、ウラン235とプルトニウムがまだ残っているそうです。
この燃料にプルトニウムをつぎ足したものがMOX燃料で、
MOX燃料をまた原子力発電所で使おうというのが、プルサーマル計画なのです。

「普通の濃縮ウランで発電するときも、エネルギーの一部は
 プルトニウムの分裂で発生しているのだから、
 MOX燃料を発電に使っても、同じようなもの」というのが、
電気事業連合会や、各電力会社の主張です。

プルサーマルの問題点は、まず再処理するときにコストがかかること。
今、青森県六ヶ所村に、再処理工場が建設されているそうですが、
発電所を作るのと一緒で、事故に備えてものすごく頑丈に作らなければなりません。

次に、プルサーマル計画が、あくまで高速増殖炉を動かすまでの
つなぎと位置づけられていること。
原子力発電が推進されるようになったのは、石油があと何十年か
(パンフレットによると41年)でなくなってしまうので、
それに代わるエネルギー源として、という意味合いもあるのです。
しかし、原子力発電に使われるウランも、72年後には枯渇してしまいます。
高速増殖炉を造って、ウラン238を効率よくプルトニウムに変えれば、
ウランを使える年数が、数倍から数十倍に増えるのだとか。
ただ、ご承知のように、「もんじゅ」のナトリウムもれ事故以降、
高速増殖炉の実験は進んでいません。
何十年か後には技術が進化して、事故を起こさない増殖炉ができるかもしれません。
・・・その前に、今より効率のいい太陽電池ができるかもしれませんが。
(あー、いかにも素人っぽいまとめかただなぁ)

原子力発電そのものにも、安全性の問題や、それを確保するためにかかるコストの高さ、
将来、発電所が老朽化したときの対処、
それから、放射性廃棄物の処理と管理など、いろんな問題を抱えています。
もちろんメリットも多いわけで、
いったん発電所が完成すれば、発電するためのコストは安くて済みますし、
火力発電所と違って、二酸化炭素を出さないので、地球温暖化対策に有効です。
もし今後、本当に安全で効率的なプルトニウム利用ができたら、
エネルギー源が枯渇する心配もなくなります。
燃料電池から核融合まで、いろいろなエネルギー源が研究されています。
また、「エネルギーを使わない」ための技術も進んでいます。
今後のエネルギー状況が、どのように変化していくか、
注意深く見守っていく必要があるでしょう。
以上、高校生レベルのレポート終わり。

(電気事業連合会のホームページはこちら)

読み飛ばしたかた、ここから「ワンダースワンの旅」再開です。
といっても、私はまだサービスホールの中にいるんですね。
地元・福島県浜通り地方を紹介する、「ソネルミエール La・浜通り」の前です。
3面のモニターに、名所旧跡が映し出されています。
夜ノ森の桜や、相馬野馬追など、季節が違って見られないものも
見ることができました。

出口近くに、発電所内に咲く花の写真が展示されていました。
その中に、「ナンバンギセル」がありました。
“またか”と思われるでしょうが、知名度の低いのを承知であえて言いますと、
この花は、ゲームブック『送り雛は瑠璃色の』で、重要な役割を果たすのです。
今、安部晴明ブームですし、テレビゲーム化されないかなぁ。

サービスホールの外には公園があって、子供たちが遊んでいます。
「シュトラウスランド」と名づけられた一角には、
ダチョウの親子がいました。

さて、久々に海へ向かいましょう。展望台に向かって歩きます。
・・・ずいぶん歩きます。
・・・まだまだ歩きます。
やっと展望台に着いたと思ったら、
あんな高いトコ。

目の前に放射線を測定する機械があります。
サービスホールからかなり歩いたとはいえ、
ここも発電所の敷地内です。

つづら折りの坂道を上って、ようやく展望台にたどり着きました。
この眺めはスゴいです。
海はもちろん、
山側もはるかかなたまで見渡せます。

この先、ワンダースワンの旅では
当分海を見ることがないので、
しばらく眺めていました。
今日はのんびりモード。
原子炉の建屋もよく見えます。
わずかこれくらいの建物が、
関東地方で使う電気の
1割以上をまかなっているんですから、
不思議なものです。
南側には福島県栽培漁業センター。
発電所から出る温排水を使って、
アワビやウニなどをふ化させて
いるのだそうです。
で、のんびりと、もと来た道を歩いて戻ります。
展望台にはけっこう人がいたんですけど、
皆さん車で来ていたみたいで、
歩いているのは私一人です。

サービスホールの前に戻ってきました。
ここへ来るときタクシーから見たところ、駅までの道は水田地帯で、
国道6号沿いにも建物はありませんでした。
スワンのソフトはないでしょう。
じゃ、タクシーを呼びましょう。
時刻は現在15時53分。次の電車は、・・・16時17分。24分後。
うーん、今からタクシーを呼んでも、間に合うかどうか微妙ですね。
その次は、17時33分。1時間40分もあれば、歩いたって間に合います。
歩くことに決定。
・・・ホント言うと、さっき乗ったタクシーの電話番号を控えるのを
忘れていたのです。

カエルの声をBGMに、県道252号線を歩きます。
沿道には、
田植えが終わったばかりの田んぼが広がります。
タンポポも咲いてます。

国道6号を渡ったのが16時27分。「大野駅1.2km」の文字が。
畑の向こうに、スーパーひたちが走り抜けるのが見えました。
この辺りは線路が曲がりくねっていて、
ちょうど今歩いている道と、ほぼ平行になっているようです。
太陽は徐々に下がってきましたが、歩いているせいか汗ばむ暑さ。

16時49分、大野駅到着。
長い道のりでしたが、歩道が広くて歩きやすい道でした。
駅で44分待ち。お茶を飲みながら、待合室でくつろぐことに。

455系、長いほうの電車が来ました。17時33分発車。
さっき歩いた水田地帯が見えます。
太陽は左手で、その赤みを増しています。
やがて住宅地帯に。次の双葉駅で降りました。

 
双葉
17時37分、双葉郡双葉町の双葉駅着(\180)。
ごく最近建て替えられたとみられる、
メルヘンチックな駅舎です。
周りの駅と比べると、ちょっと浮くかもしれませんが、
私こういうの好きです。
正面の時計は、多分からくり時計になっていて、
毎正時になると扉が開くのでしょう。

次の電車は18時15分。あんまり時間はありません。急ぎましょう。
市街地のありそうな南へ進み、次に東へ。
川を渡って(左写真)、
国道6号へ出ます(右写真)。
この時点で18時。
町なかに流れる、
「ギンギンギラギラ夕日が沈む」
のメロディー。

スワンがあるとすれば国6沿い、と考えて、北へ歩いてみたのですが、ありません。
それよりも、電車が来るまで時間がない! ところどころ走って、
駅に着いたのが18時9分。セーフ!
もし、どっか1軒スワンのありそうな店があったら、間に合ってなかったですね、多分。

15分の電車が発車。住宅地から、だんだん家がまばらになっていきます。
入れ替わりに水田が増えてきます。
国道6号は右側を並走していますが、その周りにも建物はあまりありません。
ややしばらく行くと、今度はだんだん家が増えてきて、また住宅地に。
浪江駅に停車。

 
浪江
浪江駅着18時20分(\180)。双葉郡浪江町です。
地図を見ると、ここは国道114号の近くに
店らしき名前があって、期待できます。
ただし、19時28分発の特急を逃がすと、
今日中に帰れないかもしれません。
ここも急ぎたいと思います。
サンプラザ。思ったより大きなショッピングセンターです。
入口の案内図を見ると、「おもちゃ&テレビゲーム」売り場が!
しかし、どこにあるかがわかりません。
迷いました。

ドアを抜けると、・・・ゲーセンでした。
別のドアは、・・・外に出ちゃいました。
あ、外に出て正解。別棟でした。
別棟だけに、売り場は広いです。
「Play Station2」と書かれたプレートを発見。
ゲーム売り場です。
PS2、プレイステーション、ニンテンドウ64、
ゲームボーイ、アドバンス、ワンダースワンあり。
ワンダースワンもけっこう種類がありました。
ここでは思い切ってこのゲームを。
浪江のサンフレンドで、
『With You 見つめていたい』を
\5,040(本体\4,800)で入手!

なお、限定版の大っきな箱もあったんですが、
大っきくないほうを買って、マニアじゃないことをアピール(できないか)。

ちなみに、何で『ファイナルファンタジー2』を買わないかといいますと、
発売日に秋葉原で買っちゃったからなんですね。
今回のルート上に、ゲーム屋さんがあるかどうか不安だったので。
駅着19時ジャスト。
ゴールデンウィーク最終日なので、
スーパーひたちの指定席、取れるかどうか
不安だったのですが、取れました。

運賃表を見ると、ついに仙台まで\1,620区間! ゴールが近づいてきました。
駅の中では、40人くらいの人が電車を待っています。
やってきた電車の座席はほぼ満杯。よくこれで、指定席が取れたもんです。

さらにラッキーなことに、こんな遅い時間なのに、車内販売で駅弁を売ってました。
「ぼん唄弁当」という、原町の幕の内だそうです。

予想外なことに、水戸で乗客がごそっと降りました。
これでヒザの上から荷物が下ろせます。足ものばせます。テーブルも出せます。

22時34分、上野駅着。

今、気づいたことですが、もし浪江でガンダム関係のソフトを買ってたら、
これがホントの「アムロ浪江」・・・。

ゴールの仙台まであと
20駅

桃内、小高、磐城太田、原ノ町、鹿島、日立木、相馬、駒ヶ嶺、新地、坂元、
山下、浜吉田、亘理、逢隈、岩沼、館腰、名取、南仙台、長町、仙台


今回のルート


大熊町  双葉町  浪江町

購入したソフトについて
(『リング∞』『誕生Debut』『CLOCK TOWER』『デジタルパートナー』
 『HAROBOTS』『ガンダム』『With You』は次回以降でレビューします)


次回「ワンダースワンの旅 浜通り編(3)」では、
馬いっぱいの町へGO!

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