ゲイムマンのダイスステーション

日本縦断ゲーセン紀行

32.白い浜辺のファンタジー
〜岩手編(4)〜


スタート時点での「ゲーム路銀」は、「ゲーセン」にちなんで\5,000(G千)。
ゲーセンでゲームをプレーして、1面クリアーするごとに、
「ゲーム路銀」は\100ずつ増える。
(ただし、1プレー\50円のゲームなら\50ずつ、1プレー\200なら\200ずつ。
 ゲームをプレーするためのお金も、「ゲーム路銀」からねん出する)
この「ゲーム路銀」だけを交通費にして、日本縦断を目指すのだ!
(前回までのゲーム路銀 \9,380



2004年8月28日。
8時57分のやまびこ41号で、北上から盛岡へ。
盛岡駅に、南部鉄瓶と曲がり家の模型が。

盛岡

9時46分発、「ぐるっとさんりくトレイン」
ジョイフルトレイン「kenji」号を使ったリゾート列車だ。
盛岡からまっすぐ南下せずに、山田線で三陸海岸へ出て、
釜石線を通って戻ってこようと考えている。

「ぐるっとさんりくトレイン」は3両編成で、2号車が自由席。
ゲーム路銀のことを考えて、自由席に座る。
混んで座れなくなることを心配したが、そこまでひどくは混まなかった。
車中で、盛岡の駅弁「南部鮭はらこめし」を食べる。

発車して間もなく、北上川を渡った。
左手に岩手山が見えるが、今日は山頂に雲がかかっている。

10分も経たないうちに、急速に家が減り、
山の中の景色となる。
米内川(よないがわ)を何度もオーバークロス。

線路はかなり上っているようで、
気がつくと川はかなり下方を流れている。
人家は絶えて久しい。
月並みな感想だが、よくこの深山幽谷に、線路を通したものだと思う。
車内の赤ん坊が泣き止まない。うっそうと茂る森が怖いのか、
それとも低くくぐもったディーゼルエンジンの音が怖いのか。
とうとうお母さんがデッキに連れ出す羽目に。


〜<上盛岡〜山岸〜上米内(かみよない)〜大志田〜浅岸〜>
区界(くざかい)

長短さまざまなトンネルを抜けて、区界高原の最寄り駅、区界に停車。
窓から、妙にとがった山が見えた。
兜明神岳(かぶとみょうじんだけ)というらしい。
道の駅 区界高原のホームページはこちら。

区界を出ると、左手に国道106号が並走。
盛岡−宮古間にはバスも走っており、どうやらこの道を通るようだ。
バスのほうが山田線よりはるかに本数が多い。
山田線がこうして残っているのは奇跡に近いといえよう。

閉伊川(へいがわ)という川も並走する。

平津戸(ひらつと)−川内(かわうち)間で、車内アナウンスが入った。
加藤岩蔵機関士についての解説である。
1944年(昭和19年)、雪崩で橋脚が折れ、貨物列車が川に転落。
加藤機関士は、後続列車が事故に遭うことを防ぐため、
前田悌二機関助士に、平津戸駅へ行って事故発生を知らせるよう託して亡くなったという。
この事故は、『大いなる旅路』というタイトルで映画化されている。

川幅が、かなり広くなっている。
陸中川井の辺りでは、大きな山と大きな川が、雄大な眺めを形作っていた。


〜<松草〜平津戸(ひらつと)〜川内(かわうち)
 〜箱石(はこいし)〜陸中川井〜腹帯(はらたい)〜>

茂市(もいち)

茂市到着。
隣のホームは岩泉線。山田線から北へ分岐して、
龍泉洞という鍾乳洞のある岩泉を目指す路線だ。

茂市を出てしばらくすると、徐々に民家の数が増えてきた。
平地に入り、家が切れ間なく続くようになると、宮古駅は近い。
11時48分、宮古駅で降りた。
ゲーム路銀 \9,380-\1,890=\7,490

大半の乗客がこの駅で降りる。
駅員さんが改札で、紙コップに入ったハーブティーを出してくれた。
独特の心づかいがうれしい。


〜<蟇目(ひきめ)〜花原市(けばらいち)〜千徳(せんとく)〜>
宮古(みやこ)

三陸鉄道北リアス線との分岐駅、宮古。
ここでのお目当ては、浄土ヶ浜。
約300年前、ここを訪れた霊鏡和尚という人が、
「さながら浄土のようだ」と言ったことから、この名があるという。
バスが来るのは12時15分。しばし待つ。
正午、『椰子の実』のメロディーが町なかに流れた。

バスには私を含め、観光客が数人乗ったが、
それ以上に地元のかたが、生活路線として使っている様子。
細い道を、家や電柱にぶつかりそうになりながら走る。
観光客の皆さんは、「浄土ヶ浜ターミナルビル」で全員降り、
終点の「奥浄土ヶ浜」まで乗ったのは私一人だった。
ゲーム路銀 \7,490-\210=\7,280

12時38分着。
バス停の目の前の風景がもうこんな感じ。

白い海岸。青い海。白い岩。緑の松。
白い雲。青い空。白いウミネコ。緑の向こう岸。
自然の風景とは思えないほど、
色使いにはっきりとしたコンセプトがある。

海岸は砂浜ではなく、こうした白い砂利でできている。
さながら陶器のかけらのようで、歩くとカラカラ音がする。


遊歩道は海沿いに延びる。
遊覧船にも乗りたかったが、次の出航が午後1時40分。
これに乗ると、帰ってくるのが2時20分で、
列車の時刻に間に合わない危険性が高いので、
残念ながらあきらめた。

ターミナルビルの階段を上がり、
屋上からもう一度海を眺めて、バス停へ。
ターミナルビルなど数ヶ所に解説文が出ていたが、
この近くの宮古港は、戊辰戦争の際、
幕軍の軍艦「回天」と官軍の軍艦「甲鉄」が戦った場所だそうだ。
1時41分のバスで宮古駅に戻った。

1時56分着(ゲーム路銀 \7,280-\170=\7,110)。
次の列車は2時56分。1時間空いた。
宮古には「いちご弁当」という有名な駅弁がある。
以前八戸でも紹介した、ウニとアワビの煮物「いちご煮」を弁当にしたもので、
ウニのそぼろとアワビの切り身が入っているらしい。
だが見当たらなかったので、売店でたこ焼きを買って食べた。
それと、いかせんべいを買う。

駅の中にはなぜか、30分以上後の列車を待っている人が大勢いて、
ベンチが埋まって座れない。
JR東日本盛岡支社のヒーロー「新幹線トレインジャー」のテーマ曲が、
エンドレスで流れていた。

釜石から引き返してきた「ぐるっとさんりくトレイン」に乗る。
駅で待っていた人々の大半は、逆方向の岩泉へ向かう人だったようで、
さんりくトレインの座席は空いていた。

2時56分発。
出発してすぐ閉伊川を渡る。
上流ではせせらぎだった閉伊川が、河口でこれほど広くなるとは。

川を渡った後は、山の風景が続く。
わずかな時間、左手に宮古湾が見えるが、すぐに隠れる。
津軽石で運転停車。水色の柱に白い板張りの、おしゃれな配色の駅舎だ。

森を抜け、家が増えたら陸中山田。
ここからようやく海沿いになる。
ただし、建物や木やトンネルに隠れ、海が見える区間は少ない。
次の停車駅、岩手船越で降りた。
ゲーム路銀 \7,110-\570=\6,540


〜<磯鶏(そけい)〜津軽石(つがるいし)〜豊間根(とよまね)〜>
 陸中山田〜<織笠(おりかさ)〜>

岩手船越

3時36分着。
岩手船越は、本州最東端の駅である。

徒歩12、3分で、「鯨と海の科学館」に到着。
入館料\610だが、宮古駅にあった割引チケットを使って\400で入館。

ちょうど、3Dシアターの上映が始まったところだった。
マッコウクジラの映像は、オス同士が頭をぶつけあっている姿など、あまり見たことのないもの。
山田町の祭りの様子も収められていた。

シアターを出ると、天井に実物大の鯨像。全長17.6メートル。
さっきシアターで見た、頭部の傷も再現されている。

鯨の骨格標本も大きい。
進化の過程、一生、捕鯨の歴史なども解説。
さらに、鯨のヒゲに描かれた絵馬や、鯨以外の海の生物の紹介、
さまざまな漁具の展示もあり、小さいながらもなかなか充実した内容だった。

企画展は「岩渕欣治 海の版画展」(7月10日〜9月30日)。
魚をモチーフに、エッシャー風に敷きつめたものあり、
ユーモラスな表情にしたものありと、魚で楽しく遊んでいるような作品が多く、おもしろい。

鯨と海の科学館のホームページはこちら。

科学館を出て、さて次の列車には間に合うかなと思っていたところ、
背後で踏み切りの音が鳴り、4両編成の列車が、南に向かって通過していった。
10分遅かったか。
携帯電話を使って、その次の列車の時刻を調べる。

……18時27分。2時間後だ。

思わずひざが崩れ、科学館前のベンチに座り込む。
ここまで来て、山田線の本数の少なさに泣かされるとは。
科学館は4時半閉館なので、もう戻れないし。

駅まで歩いて戻る。
科学館の裏の道路には、まったく人気がない。

午後5時のチャイムが鳴ってる間に駅に着く。まだ1時間半ある。
またこの駅舎の小さいこと。新しい建物で、きれいなのはいいんだが。
1本前の列車に間に合えば行きたいと考えていた場所がもう1ヶ所あるのだが、
6時27分発では、着く頃にはもう日が暮れている。
だからそこには明日行くことにして、その駅までの運賃分、ゲーム路銀を減らす。
ゲーム路銀 \6,540-\200=\6,340
で、実際には今日宿泊する釜石までの切符を買う……券売機もないか。

5時17分。宮古行きの列車が止まり、また出て行った。
鞄の中に入れていた「ベビースターおとなのラーメン」を食べながら待つ。
ついでに、締め切り間際の仕事を1つ残してきていたので、その企画を考える。
……思いつかない。
辺りが次第に暗くなり、気温も次第に下がっていく。
寒い。

6時を回った。
ここで思ったのだが、もしかして、
盛岡−宮古間のように、並行するバス路線があるんじゃないだろうか?
でももうバス停を探すには遅すぎる。
※後で知ったが、近くに道の駅もあったらしい。
道の駅やまだのホームページはこちら。

6時27分。
いつもながら、長時間駅で待った後、ホームに立って、
遠くから列車のシールドビームが見えたときは、本当に安心する。
盛(さかり)行きの2両編成。三陸鉄道の車両だ。

駅を出てすぐ、左側に海が見えた。
既に日は落ち、紺色の濃淡と点在する明かりだけで、景色が構成されている。
浪板海岸駅近辺でも、海沿いのきれいな景色が見られた。
すごくいい風景なのだが、残念ながら暗すぎて、動いている列車からは写真が撮れない。

釜石到着7時6分。

ホテルまではちょっと歩く。
初めての町を夜歩くのは、ちょっとしたスリルがあって好き。
明日の朝は早起きしなければならないようなので、
夕食を食べた後、ちょっと早めに寝た。

現在のゲーム路銀
\6,340

今回のルート


盛岡観光コンベンション協会  宮古観光協会  山田町観光協会  JR東日本盛岡支社  三陸鉄道
次回、「日本縦断ゲーセン紀行 33.岩手編(5)」では、
ゲーセン紀行初の国外脱出(?)
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