ゲイムマンのダイスステーション 日本縦断ゲーセン紀行
33.小さな独立国と大きな観音様
スタート時点での「ゲーム路銀」は、「ゲーセン」にちなんで\5,000(G千)。
8時4分、目的の駅に着いた。
私は中学生の頃、「明るくやろうよ共和国」というミニ独立国を作っていた。 当時行われた「ミニ独立国オリンピック」にも、参加させていただいた。 その頃は、全国の自治体や観光地などが、 町のPR活動として“独立宣言”をすることがブームとなっており、 個性豊かなミニ独立国が多数存在していた。 ミニ独立国オリンピックの様子は、日本テレビでゴールデンタイムに放送されている。 これほどのムーブメントを起こした“ミニ独立国”だが、 いつのまにか人々の話題にのぼることもなくなってしまった。 その存在自体を知らない人も数多い。 インターネットで検索しても、不思議なほど情報が少ない。 当時は「吉里吉里国」も、ミニ独立国として実在し、 独立国ブームのきっかけを作った国として、大きな存在感を持っていた。 その国が今どういう状況になっているのか見てみたかったので、 盛岡からまっすぐ南下せず、三陸海岸までやってきたのだ。
全国のミニ独立国を訪ねる旅を、やってみたくなった。 ニコニコ共和国や新邪馬台国、そやんか合衆国などで、 ミニ独立国時代のものがどれだけ残っているか。 問題は、ミニ独立国自体を知らない人も多い現状で、 果たしてこの企画に乗ってくれる出版社かウェブサイトがあるかどうかだが。 ホームで釜石方面の列車を待つ間、地元のおばちゃんと話す。 やはり独立国絡みのイベントなどは、現在行われていないようだ。 「せっかく来たのに、調べるものなーんもないでしょ」 おばちゃんは以前、釜石の大橋に住んでいたそうで、 当時は鉄鉱石輸送のため、社宅が立ち並んでいたという。 その場所は今、「仙人水」という水の産地になっているとか。 8時29分の花巻行きに乗る。 トンネルをひとつ抜けると、吉里吉里と同じような町並みが現れた。大槌湾か。 海岸から離れ、鵜住居あたりから山の景色になる。 8時49分、釜石着。 (ゲーム路銀 \6,340-\320=\6,020)
シープラザ釜石内に、大活躍した 女子柔道のアテネ五輪代表選手全員のサインが! 釜石で強化合宿を行ったそうだ。 サンフィッシュ釜石の1階、市場の雰囲気満点の中、 食堂でサンマの塩焼き定食を食べる。油がのっていて非常にうまい。 再びシープラザへ戻る。 2階には、インターネットの使えるパソコンと、……ゲーム機があった。 『レイブレーサー』『クライシスゾーン』、そして『ミスタードリラーG』! アメリカ編をプレーして1000mゴール。(ゲーム路銀 \6,020+\900=\6,920)
その後、後ろのモニターに、実際の虎舞の映像が出た。 本当はもっと動きが速いことがわかる。やっぱりさすがに人間にはかなわないか。 でもからくりの虎も、サイバーな感じがして、なんかいい。 駅前橋上市場 サン・フィッシュ釜石のホームページはこちら。
次は、釜石大観音へ行こう。 ちょうど駅前のバス停に、「大槌病院・浪板」行きのバスがやってきた。 運転手さんに聞いてみる。 「観音へ行きますか?」 「観音には行きません」 バス停の時刻表を見てみる。 行き先だけで経由地が書かれておらず、まったくわからない。 しかし、昨日ホテルで入手した地図に、バス路線図があったので、照らし合わせてみると……、 10時47分のバスが観音前を通るようだ。でもまだ30分ある。 歩くことにする。
途中、トンネルがあった。交通量は多い。 歩道があり、トンネル自体も短かったので、走って抜ける。 無事に抜けたから良かったが、万が一、中でアクシデントがあったら逃げ場がない。 帰りにこの道を歩くのは、やめようと誓った。 10時59分、大観音が見えるより先に、バスに追い抜かれた。 それからすぐ、大観音の背中が見えた。しかしそちらへ向かう道がわからない。 そこで、今の道をこのまま歩いて、鉄の歴史館へ行くことにする。
建物は3階建てで、1階では大島高任が鉄の出銑(しゅっせん)に成功するまでの道のり、 つまり日本の近代製鉄の歴史が、書状など豊富な資料とともに紹介されている。 11時30分。上映時刻になったので、入り口近くの「総合演出シアター」へ。 ポリゴンの大島高任と、マスコットキャラクターのサイ太郎が、 高炉の実物大模型(高さ14.6メートル)とスクリーン2面を用いて、初期の製鉄の仕組みを解説。 炉の上から木炭と鉄鉱石をいれ、水車で風を送ると、下からとけた鉄が出てくる。 鉄鉱石を上まで運ぶ作業や、高温となる炉の周辺での作業は、 かなりの重労働だったという。 2階に展示されているのは、その後の釜石の製鉄の歴史。 さまざまな変遷を経て、現在は高炉も休止、鉄鉱石の採掘も平成5年(1993年)で終了。 線材単圧工場のみが残っているそうだ。 採掘された最後の鉄鉱石が展示されていた。 去年、恵比寿の東京都写真美術館で、最後のファミコンが展示されていたのを思い出した。 3階には、フランスにあるアンモナイトの壁(大露頭)のレプリカが展示されている。 高さ12メートル、幅16メートル。 本物は岩肌にこれが出ているというから驚く。
出口付近に、鉄鋼や蒸気機関から、ブリキのおもちゃに至るまで、 鉄でできたさまざまなものが展示されていた。 鉄の歴史館のホームページはこちら。
12時40分。鉄の歴史館を後にして、いよいよ釜石大観音へと向かう。 くねくねとした坂道を下りると、「ようこそ釜石大観音へ」という文字が。
これから、観音様の胎内を巡るわけだが、そこには長いらせん階段が待っている。 以前「ワンダースワンの旅」で行った、東京湾観音がすごくハードだったのを思い出す。 日が出てきて、暑くなってきた。今日もけっこう歩いてきたので、ちょっと疲れている。
ベンチで少し休憩。周りにトンボが飛んでいる。 いざゆかん。 らせん階段の下に弁天様。芸術と芸能の神様なので、特に丁寧にお参りする。 階段を上がると、なた彫りの三十三観音が並んでいた。 大観音と同じ、長谷川昂氏の制作。 全体の姿は素朴で力強く、観音様の御表情は穏やかである。 銚子のお寺でもそうだったような気がするが、「遊戯(ゆげ)観音」を特に丁寧にお参り。 そこから上は、ひたすららせん階段を上っていく。 薄暗くて狭くて怖い。 途中、恵比須様、大黒様、福禄寿様、毘沙門天様、寿老人様を拝む。 そして布袋様を拝むと、階段の向こうに光が差してきた。 観音様の抱える魚の上が、展望台になっていたのだ。
結局170段ほどの階段を上り下りしたが、まったく疲れなかった。 東京湾観音のときより気温が低かったからか、 それとも長年あちこち歩き回ったことで、脚が鍛えられたからか。 単に、展望台が東京湾観音よりも低かったからかもしれない。 というわけで、最後ちょっと怖かったけれど、楽しい観音様詣でであった。 心が洗われた。 完全に澄んだ心になれたような気がするが、 私はそんなにすぐ澄んだ心になれるほど、良い人ではないような気もする。 釜石大観音のホームページはこちら。 参道のおみやげ屋さんの多くは閉まっていた。 おみやげ屋さんの前を通らずに、駐車場を斜めに歩いたほうが早いので、やむを得ないか。 営業している数少ない店のひとつで、海洋リゾートっぽいイルカのアクセサリーを買う。 暗闇で光る。 坂を上って、バス停まで戻る。現在、午後2時30分。 バスがあるのかどうか不安だったが、幸い2時42分にあった。 上大畑行き。バスに乗って10分後、市役所前で下車した。 (ゲーム路銀 \6,920-\250=\6,670) 駅よりもちょっと手前で降りたのは、
プライズ、プリクラのほか、格闘ものを中心にビデオゲームも有り。 ただし、ゲーム路銀を稼げそうなものがない。 『ザ・キング・オブ・ファイターズ2002』をプレーするも、3面目でゲームオーバー。 (ゲーム路銀 \6,670+\100=\6,770)
ちなみに、今回は時間の都合で行けなかったが、 リアス式海岸を海から眺められる「観光船はまゆり」号が、釜石湾から出航しているそうだ。 観光船はまゆりのホームページはこちら。 次は上有住(かみありす)駅で、滝観洞(ろうかんどう)という鍾乳洞を見ようと思ったのだが、 今日は東京へ帰る日で、しかも次の列車が1時間後。 上有住に降りると、今日中に帰れなくなりそうなので、このまま東京へ戻ることにする。 昼ごはんを食べていないが、あんまりお腹もすいてないので、カロリーメイトで済ます。 この時点では、次回上有住からスタートしようと考えていたのだが、 上有住スタートだと、その後の予定に難が生じることが後日わかり、 次回は遠野から再開することにした。 そのため、釜石−遠野間の運賃、\820をゲーム路銀から引く。 (ゲーム路銀 \6,770-\820=\5,950)
まだまだ上る。陸中大橋駅を過ぎて、長いトンネルへ入った。 ここが仙人峠で、トンネルの中で線路はほぼ180度向きを変える。 (「セミ・ループ線」と車内アナウンスされていた)
上有住停車。滝観洞の看板が見える。 滝観洞のホームページはこちら。
遠野には、かつて1度だけ来たことがある。 今回は降りずに車内から見ただけだが、見事な石積みは健在だった。 新花巻でぐるさんトレインを降り、6時41分発のやまびこ68号で東京へ。 指定席が満席だったので、ぜいたくしてグリーン車に乗った。 車販の男性が、JRには珍しいくらい明るい人だなと思っていたら、 近くの席のお客さんが気づいたのだが、以前『スーパーテレビ』に出ていた人だった。 また、別のお客さんたちが、那須塩原あたりから急にファミコン話で盛り上がる。 『謎の村雨城』『中山美穂のトキメキハイスクール』 『魔界村』『さんまの名探偵』『超兄貴』……。 ゲーム業界人なんだろうか。 メールの着信音が、『ドラクエ』で1泊して朝になったときの音だし。 10時ちょうどに東京着。 \5,950 今回のルート ![]() 大槌町のホームページ 釜石市のホームページ 釜石観光物産協会 住田町のホームページ 住田町観光案内 JR東日本盛岡支社 三陸鉄道 次回、「日本縦断ゲーセン紀行 34.岩手編(6)」では、 昔話の里で思わぬ足止め。 「日本縦断ゲーセン紀行 32.岩手編(4)」に戻る 「ゲイムマンのダイスステーション」タイトルページに戻る |
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