ゲイムマンのダイスステーション 日本縦断ゲーセン紀行
34.民話の里で待ちぼうけ
スタート時点での「ゲーム路銀」は、「ゲーセン」にちなんで\5,000(G千)。 2004年10月28日。 午後6時56分発、ビジネスマンで満員のはやて27号で盛岡に向かう。 9時38分着。駅近くのホテルに入る。 新幹線の中で、不自然な格好で寝ていたせいか、ずっと具合が悪い。 着いて2時間ほどでようやく回復するが、もう寝る時間だ。
5年前に私が遠野へ行ったとき、この列車は急行陸中だった。 JRの急行に乗るには急行料金が要ることを、このとき初めて知ったのだが、 その後、急行陸中は廃止され、特別料金のかからない快速になったのだ。 3両編成で、3号車が指定席だが、自由席も空いていた。 1号車、運転席のすぐ後ろの、眺めがいい席に座る。 盛岡駅を出発してすぐ、北上川を渡る。貨物列車とすれ違う。 花巻で進行方向が変わり、今いる車両が最後尾になった。
3面スクリーンの「マルチスクリーンシアター」で、遠野物語の世界を見る。 人形と遠野の風景、方言の語りが絶妙にマッチした『神隠し』。 千代紙で表現された『郭公鳥と時鳥』(かっこうとほととぎす)。 文語の清澄な語りが印象的な『白い鹿』など。 展示は古民具とともに、かつての山での生活や、馬とのかかわり、 養蚕、絵馬、路傍の石碑などを紹介。しし踊りの映像も見られる。 特別展は「日本のグリム・佐々木喜善展」(10月31日まで)。 喜善の生涯、手紙や初版本などの資料を展示。 民俗学の歴史もよくわかる。 遠野市立博物館のホームページはこちら。
ちょうど柱時計が鳴った。12時だ。 建物の雰囲気に合った、懐かしい音だ。
向かいの小さな建物は、遠野昔話資料館。 遠野はかつて交通の要衝で、周辺各地からお話が集まってきたのだそうだ。
おみやげを買って、時計を見たら12時52分。 続いては、5キロ北東にある「伝承園」を目指して自転車をこぐ。
伝承園は、遠野のかつての農家の生活様式を再現した、一種のテーマパークで、 家と厩(うまや)が一緒になった曲り家(まがりや)をはじめ、 水車小屋や炭窯など、古い建物が移築されている。
そして、伝承園いちばんの見どころといわれる「おしら堂」へ。 オシラサマという神様をまつるお堂である。 細い桑の木の棒に頭を彫った神像で、 このお堂では、四方の壁がオシラサマでびっしり埋め尽くされている。 その数1000柱という。 穴を開けた布に願い事を書いて、オシラサマに着せることができる。 どのオシラサマも、カラフルな布で着ぶくれしており、パッチワークのようだった。 伝承園のホームページはこちら。 食堂で月見そばを食べてひと休み。
午後3時15分、観光協会に戻って自転車を返却。 レンタル料は\800。 あと5分遅かったら\900だった。\100節約できてラッキー。 (ゲーム路銀 \5,950-\800=\5,150) 駅に戻る。次の列車は、 ……4時54分。 1時間39分待ち。アンラッキー。 つい12分前に、快速が出たばかりだった。 本当は、千葉家という大きな曲り家にも行きたかったが、 多分、自転車でも片道1時間はかかるだろう。 時間的にも体力的にも辛いので断念。 ほかにも、今回行ってない観光スポットはいくつかある。 農村体験ができる「遠野ふるさと村」や、 遠野の自然を再現し、トロン温泉や宿泊施設もある「たかむろ水光園」。
南部曲り家 千葉家のホームページはこちら。 遠野ふるさと村のホームページはこちら。 たかむろ水光園のホームページはこちら。 道の駅 遠野風の丘のホームページはこちら。 さて、3時40分発の下り列車が出ると、駅の待合室は私1人になった。 本を読んで待つ。 4時半頃、寒くなってきたのでジャンパーを着る。 薄暗くなってきた。 次は宮守で、“めがね橋”こと宮守川橋梁を見たいと思うが、 見られるかどうか心配になる。
4時54分発。 進行方向の空に夕焼け。山はシルエット。田んぼは何とか見える程度。 もっとも、これでかえって『遠野物語』の舞台らしい雰囲気になった気がする。 たそがれどきは、逢魔が時(おうまがとき)。 途中の柏木平駅の近くに、鱒沢やな場や宮守ブロイハウスがあるらしいが、 こう暗くてはよく見えない。
宮守川橋梁を目指して歩く。 線路沿いの道を進むが、やがて踏み切りにさしかかる。 線路に沿ったのでは橋の下に出られないと気づき、いったん駅に戻って、 坂の下に見えた広い道路へ。 歩道はあるが、街灯はまばら。 家も途切れ途切れとなり、暗くてかなり怖いが、勇気を出して先へ進むと、
手前に見える、エジプトのオベリスクを思わせる柱は、 大正4年(1915年)に造られた、岩手軽便鉄道の橋脚の一部。 宮沢賢治も見たという。 ※後から知ったが、めがね橋のすぐそばに「道の駅みやもり」があり、 ゲームコーナーもあったらしい。 そういえば、歩いてきた道のさらに向こうが、何だか明るかったような記憶がある。 道の駅みやもりのホームページはこちら。 駅に戻ると、下り列車が止まっていた。 この後に来るはずの、上りの臨時快速との交換待ちのようだ。 臨時快速に乗れるかもしれない。 急いでホームに駆け上がる。 「ぐるっとさんりくトレイン」が来た! ……通過した。 ひざから崩れてホームに突っ伏した。 夏場はここ、確か停車駅だったはずなのに。 現在、午後6時ちょうど。 次の上りは6時51分。 駅舎は5時半で閉まるようで、私がさっき降りたときには既に明かりが消えていた。 20分ほど駅前で立って待っていたが、寒いし、疲れたので、
開けてもいない缶コーヒーがすっかり冷め、さらにしばらく経ったところでようやく列車が来た。 やっと暖かい室内で座れる。 窓が曇ってて外はよく見えないが、いずれにしろ真っ暗だ。 明日は3駅先の土沢からスタートするつもり。 (ゲーム路銀 \4,750-\230=\4,520) 7時25分、花巻着。今夜はこの町に泊まった。 \4,520 今回のルート ![]() ![]() 遠野市観光協会(旧宮守村含む) JR東日本盛岡支社 次回、「日本縦断ゲーセン紀行 35.岩手編(7)」では、 花巻で宮沢賢治の世界に触れる。 「日本縦断ゲーセン紀行 33.岩手編(5)」に戻る 「ゲイムマンのダイスステーション」タイトルページに戻る |
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