ゲイムマンのダイスステーション

日本縦断ゲーセン紀行

72.テレビゲームに縁のある博物館
〜東京山手線編(6)〜


スタート時点での「ゲーム路銀」は、「ゲーセン」にちなんで¥5,000(G千)。
ゲーセンでゲームをプレーして、1面クリアーするごとに、
「ゲーム路銀」は¥100ずつ増える。
(ただし、1プレー¥50円のゲームなら¥50ずつ、1プレー¥200なら¥200ずつ。
 ゲームをプレーするためのお金も、「ゲーム路銀」からねん出する)
この「ゲーム路銀」だけを交通費にして、日本縦断を目指すのだ!
(前回までのゲーム路銀 ¥10,390




上野

2006年11月18日。11時29分、上野駅着。
今回はまず、国立西洋美術館へ。
常設展¥420、企画展込みだと¥1,400。
企画展込みのチケットを買う。

まずは常設展から。ロダンなどのブロンズ像を見た後、スロープを上る。
この美術館の展示品の多くは、
松方幸次郎という人が収集した「松方コレクション」だそうだ。

当時の日本の芸術家たちに、
本物のヨーロッパの美術品を見せたいという思いで集められたが、
1927年(昭和2年)の経済恐慌で、多くが売りに出され、
ロンドンに残していたものは火災で焼失。
パリにあった400点ほどが、1959年(昭和34年)にフランス政府から寄贈返還された。

それらを保管・展示するために、この国立西洋美術館が建てられたのだそうだ。
本人の没後9年にして、その思いが実を結んだことになる。
(現在では、それ以降に収集された作品も展示されている)

まず、14〜15世紀の祭壇画から、だんだん時代を下っていく。
宗教画から始まって、風景画や静物画が加わるようになる。
エル・グレコの、キリストを描いた作品もあった。

この部屋を出たところで、ニンテンドーDSライトの貸し出しが行なわれていた。
「ウェル.com美術館プロジェクト」のトライアルとして、
ワンセグ携帯やニンテンドーDSを端末として、
作品の解説を流すサービスが行なわれていたのだ(11月19日まで)。
常設展入口には携帯電話ばかりでDSがなかったので、通り過ぎていたのだが、
どうやら部屋ごとに違う端末を使っているようだ。
DSを1台借りて、次の部屋へ向かった。

ここではドラクロワやミレーなど、近代の絵画が並ぶ。
ニンテンドーDSでは、クールベ『画家のアトリエ』、マネ『草上の昼食』、
ルノアール『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』を中心に、
市井の人々を描いた、印象派の作品を解説。
解説の音声がクリアーで聞き取りやすい。実写の動画も表示され、
「ニンテンドーDSってこんなことができたんだ」と驚いた。

マネ『ブラン氏の肖像』『花の中の子供』なども解説。
『花の中の子供』に描かれた子供の母親が、後にモネと結婚したので、
この子はモネの子になった、ということも紹介されていた。

ルノアール『アルジェリア風のパリの女たち』の参考になったとされる、
ドラクロワの『アルジェの女たち』(ルーブル美術館)を画面で紹介。
普通の音声ガイドではできないことだ。

次の部屋には、モネの作品が多数並ぶ。DSではモネの生きた時代
(長生きしたため、馬で移動した時代から、自動車の時代まで経験している)や、
当時フランスで日本文化ブームが起こっていたこと、
モネが浮世絵を多数持っていたことを解説。
絵の構図にも、日本画の影響がみられるという。

さらに、「印象派」という名称の起こりや、抽象画のようなタッチ、
よく描かれたセーヌ川や、自宅の庭の実写映像。
実際にモネが、自宅の日本庭園で『睡蓮』を描く映像まで収録されている。

ニンテンドーDSを使うことで、普段ゲームをしない人がDSに親しめるし、
また、ゲーム専門のニュース媒体で紹介されることで、
ゲームファンが美術に親しむきっかけともなり、相乗効果が得られると思った。

次の部屋は版画素描室。フランク・ブラングィン版画展(12月10日まで)。
太い輪郭線と、光と影のコントラストが力強い。

1階へ。ゴーギャン、ゴッホ、セザンヌ、ドガ、モロー、ドニ、ボナール……。
それぞれの絵ごとに、表現方法がまったく違う。
点描だったりぼかしたり、平面的だったり、写実的だったり、色彩を強調したり。
19世紀から20世紀初頭にかけて、さまざまな表現方法が試みられていたことがわかる。

そしてキュビズム、現代美術へ。
ピカソ、ミロなど、表現がさらに奔放になったところで、常設展は終了。

企画展は、「ベルギー王立美術館展」(12月10日まで)。
ピーテル・ブリューデル(父)(異説あり)の『イカロスの墜落』をはじめ、
ルーベンス、ドラクロワ、ヴァン・ダイクなど。
色鮮やかな油絵や、風景を中心とした素描が見られる。

時代が下ると、点描が現れてくるが、その中でも、
エミール・クラウスの『陽光の降り注ぐ小道』は、
街路樹を通して、道の上や、道を通る牛たちに届く
木漏れ日がキラキラしてて、明るい気分にさせてくれる。

最後はデルヴォー、マグリットのシュールレアリスム作品。
マグリットの『光の帝国』(空が昼景で家が夜景の作品)もあった。

ミュージアムショップで、「考える人ストラップ」を買う。
そこで時計を見たが、もう午後3時を回っている! 急ごう。

国立西洋美術館のホームページはこちら

国立科学博物館。
本館は1930年(昭和5年)に建てられた。
ここも東京国立博物館に負けず劣らず
壮麗な建物なのだが、
現在、内部は修復工事中。
展示は新館で行なわれている。

建物の両側に、
シロナガスクジラの模型と
蒸気機関車D51。

以前ここで「テレビゲームとデジタル科学展」が行なわれていたとき、
つくばテレビ『エンタdeパンチ』の取材で来たことがある。
河辺ひとみさん・秦礼子さんと、いろんなゲーム機を見て回った。
そういや『エンタdeパンチ』は、来月・12月の放送が最終回で、
先日収録を終えたばかりだった。

入館料は、企画展込み¥1,500。(通常展のみだと¥500)
まず企画展の、「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」へ(来年2月18日まで)。
3Dシアターでは、立体映像化されたミイラが見られる。
CTスキャンによる調査でわかった、ミイラの生前の職業、
おおよその年齢、死因などや、ミイラの作り方を解説。

展示では、その映像に出てきたミイラの実物
(CTで調べられたので、内棺から外に出されていないが)、
ほかいくつかのミイラと、副葬品、死者の書、神々の像などがあった。

常設展示室へ。1階では、動植物の多様性、環境への適合を、
はく製や骨格などを使って紹介。
上野動物園にいた象のインディラや、
2000年、静岡県に打ち揚げられたマッコウクジラの骨格、
パンダのホアンホアンのはく製もある。
牛の内臓、キリンの舌とか、
クジラの胃や小腸に寄生しているアニサキスや鉤頭虫といった、
気持ち悪い展示があるのも珍しい。

海洋生物の展示。さまざまな海の様子を再現。海藻の標本も豊富。
陸上生物の展示。熱帯雨林の生態系(ラフレシアもあった)、湿原や温帯、砂漠。
熱帯雨林の1本の木にすむ昆虫の標本がずらっと並ぶ。
そのほとんどは、肉眼では見えないような小さな虫。

同じ種でも、見た目が大きく違う生き物として、
多くのアサリ、ヒライソガニ、カラスアゲハ、カブトムシ、ハツカネズミなどを展示。
1体1体違うものもあれば、島ごと、地域ごとに違ったり、
環境の変化で見た目が変化するケースも。

さて次の階へ、と思ったところで、館内に「蛍の光」が流れる。
時刻は午後4時55分。あと5分で閉館だ。
ここは地上3階、地下3階まである。ほかの階はまた次回見ることにしよう。
うーん、今日こそ上野を脱出できると思ったが。

国立科学博物館のホームページはこちら

さっきのクジラ像の前を通って、外に出たところでちょうど午後5時。
公園内の売店でクリームパンを買い、外の椅子に座って食べた。
ちょっと休憩できたけど、日が暮れた屋外はけっこう寒い。
午後5時30分頃、駅へと戻り、そのまままっすぐ帰った。

現在のゲーム路銀
¥10,390

今回のルート
1.旧古河庭園 2.六義園 3.小石川植物園
4.谷中霊園 5.入谷鬼子母神
6.旧吉田屋酒店 7.東京国立博物館
8.上野動物園 9.浅草寺
10.小石川後楽園 11.東京ドームシティ
12.湯島聖堂・神田明神 13.ニコライ堂
14.両国国技館・江戸東京博物館

a.寛永寺霊園 b.国際こども図書館
c.東京芸術大学 d.東京国立博物館
e.東京都美術館 f.上野動物園
g.国立科学博物館 h.国立西洋美術館
i.東京文化会館 j.上野の森美術館
k.不忍池弁天堂 l.西郷隆盛像
m.下町風俗資料館 n.アメヤ横丁 o.鈴本演芸場

台東区観光課  上野観光連盟  東京の観光 丸ごとガイド  JR東日本  東京メトロ
次回、「日本縦断ゲーセン紀行 73.東京山手線編(7)」は、
今度こそようやく上野を脱出!
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